抗体率0.6%。この、喜べない未感染状態

14日夜に緊急事態宣言解除の首相演説があり、まる1日たった。書いているいまは、16日土曜の午前である。

東京や大阪などの9都道府県には、国の解除が行われなかった。後日になる。

国の解除の目安(またしても基準ではない)は

「直近一週間の新規感染者数が人口10万人当たり0.5人程度に抑えられている」である。

これだけではないが、あとの項目は、「総合的に判断する」ためか、数値の基準も目安もしめされていない。

これに対して、地方自治体は、独自の基準を出して、きめ細かくやろうとしている。以前から「大阪モデル」をだしていた大阪府と、今回「東京アラート」を発表した東京都が目立つ。

大阪府は、西村大臣にイチャモンをつけられていたが、これを押し通した。

大阪モデルの骨子
吉村氏をコツンといわせたい西村大臣のいちゃもん

東京都は、もっと細かく、「東京アラート」を出した。

イチャモンをつけてる西村大臣は、「おれの出したのは国としてであり、あいつらは自治体だ」といわんばかりだが、国と自治体から異なった表現のいくつもの指標をもらった国民としては、より詳しく具体的な方を採用する。国の目安は、全国共通というつもりだろうが、出来が悪い。

2月から5月14日まで、国は数値をだしてこなかったので、今回が初めてである。なにごとにも事情はあるが、「数値をだしてこない国の事情」を聞いてもしかたがない。グズなのである。
データが増えてきたいまなら、データをもとに、何が正しいか、まずまずのことは誰でも言える。
データが少ないときにさえ、データを使えないなら勘で蓋然性の高いことを言うのが、政治家の役目だ。
専門家は、洪水が起きたあとで「大雨であることが検証されました」という性質のものであり、政治家は雨が降る前の雲をみただけで「洪水になるぞ」と言うべき義務を追うものである。そして予想が外れたら、職を辞する。
いまの専門家は、失敗したくないのでデータが揃うまで仕事をしない。いまの政治家は、職を辞したくないので、ムニャムニャ言うだけである

いま、3ヶ月たってまがりなりにデータが集まってきたので、政治家も専門家も、国も自治体も、発言が元気になった。マスコミから首相の声が聞こえないと批判された安倍氏も、そろそろ喋りだすだろう、あたかも、最初から自分が適切な指導をしてきたかのような修飾語を積み重ねて。

これからが本格的流行だ

国や自治体にも智慧がついたので、彼らの言う目安や基準を一応信頼するとして、今後は、ひとりひとりはどういう態度で暮せばよいのか。

いまの段階で、感染者数2万未満、死者700人未満。
世界各国に比べて日本は感染者数も死亡者数もあまりに少ないので、じつは、日本では、新型コロナは、流行段階ではなかったのはないか、という説がある。
ボヤの状態のままブスブスしかかっていたが、どういうわけか流行直前に「国民皆自粛」に入ったので、大火事にならずに来た、というのである。
これが正しいなら、専門家会議と政府の指導はまことにすばらしいものである、ということになる。その立場にたつ論者である議員の青山繁晴氏は、「ジャパン・ミラクルと、世界から称賛を浴びています」と、大げさに勝利の喜びの声を挙げている。
これに対して、テレビ朝日の玉川氏は「加藤厚生労働大臣が報告したように、全体の0.6%の人しか抗体を持っていないというならば、日本では感染も流行もまだ始まっていないということです」とコメントした。
玉川氏や岡田氏は「たくさんのPCR検査をやって市中感染率を把握せよ。市中感染率(全体の何%が感染してるか)がわからなければ、対策をうてないじゃないか」と言い続けてきた。その間、外国の市中感染率を参考にしたり、4月に慶応病院が発表した6%や、他の都内の病院が発表した数値を参考にしてきた。
今回やっと、厚生労働省が初めて数値を出してみたら、なんと「0.6%」だった。
であれば、議論の原点が大幅に変わる。

日本のまちなかには、(本人が気づいていない感染者も含めて)感染したことのある者は、0.6%=(1億2000万人をかけると)推定72万人、ということだ。残りである99.4%の人=1億1000万人以上は、抗体を持っていない人であり、これから、新型コロナにかかりうる人である。我が国は、集団免疫が未形成の国なのである。

まだ罹っていない人1億1000万人にとって、ワクチンだけが希望である。
アビガンもレムでシビルもその他の治療薬は、罹ってしまった人にとっての最後の希望だが、どの薬も奏効率という現実がある。全員に効くわけではなく、3割の人に効くとか、6割に効いたとかいうような、あてどなさである。これを希望とは呼べない。
新日常で行うべき十何か条の生活様式も希望ではない。やったほうがいいとは思うが、やがて、人々にとって、うっとうしい不自由になるだろう。

1億2800万人の人が新型コロナへの感染を気にせず暮らせる日常は、使う治療薬の奏効率が99%になり、一方、ワクチンがすべての人に行き渡る(開業医のところですぐ接種してもらえる)医療体制が整うまで、実現されない。

緊急事態宣言が解除されたことを、新型コロナに打ち勝ったことに我田引水して喜んでいる議員や論者は、調子に乗らないほうがいい。

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