「診察前に、死んでくれ」

ニューヨークが深刻になっている。CNNが現場の医者に取材した。その女医は、「患者が押し寄せて、病院は対応しきれません。生き残れそうなら治療します。生き残れそうにないなら、治療しません」別の医師も言った。「治療するかしないか、振り分けせざるをえません。50歳以上は治療しません」

ニューヨーク州のクオモ知事が会見で「ベンチレーター、ベンチレーター、ベンチレーター」と叫んでいる。ベンチレーターは、人工呼吸器のこと。息ができない重症者の息を手助けする機械だ。2万5000台欲しいそうだ。それだけ死に瀕している感染者がいるということだ。


ホワイトハウスの対策トップのファウチ博士に教えられてトランプ大統領が言った。「ほっとくと、200万人が死ぬ。適切な対策をするので、10万人で抑えられる。これでも上出来だ」
東京でも、感染症用の病床はすでに満床だ。満床どころか、患者が3倍もいるので、他の用途のベッドを転用してなんとか入院させている。これ以上は融通のきかせようがないところまで来ている。
きょうは4月1日だ。東京の感染爆発と医療崩壊は、数理的シミュレーションでは、4月10日と予想されている。数理的シミュレーションは、人間がなんの対策もせず個々人が生活変容をしなければという前提で行われるものなので、それを引き伸ばすことはできないわけではない。引き延ばせればよいのだが。


とはいえ、ニューヨークやイタリアでは、医療者の疲弊が生じてきた。医療者が感染にさらされて戦線離脱すれば、ますます、医療の崩壊が早まる。引退した医者やナース、免許をとったばかりの新米医師や新米ナースも、現場に投入される。彼らは、ものすごいストレスにさらされる。

コソボ内戦

21世紀になる直前の時期、コソボやクロアチアの内戦が突然起きたとき、医師免許をとったばかりの小児科の若い医師は、病院に砲弾を打ち込まれて、先輩医師がいなくなった。(死亡と逃亡)。手や足の千切れた患者、はらわたがそとに出ている患者たちが押し寄せた。研修したこともないメスを持つ手はブルブル震え、彼はつい思った。「手術の前に死んでくれ」
この医師はその後の修羅場を何年ものりこえ、タフな医療者に成長した。内戦が終わったあと、体験を本に書いた。いまニューヨークの感染の現場で医療者人生を始める医師やナースも、その患者が生き残れそうかどうかトリアージしなければならない過酷さの中で、内心思うかもしれない。「トリアージの前に死んでくれ」

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