緊急事態宣言前の2週間前、3月31日に「コロナ関連番組、民放テレビ局をmyランキングしてみる」を書いた。
今日は4月14日。緊急事態宣言が出て1週間だ。おいらのデイリーの情報源は、テレビ、日経新聞、ネットニュースだが、テレビについて、思ったことを書いてみる。
緊急事態宣言(4月7日)後の、コロナ関連番組は、内容的に3つだ。
①:まちなかの出来事(街で、職場で、生活に、医療現場に、どこここで、何が起きてる、世界はニューヨークはジョンソン首相はどうなってるゴシップ、まちなかで拾えるエピソードやプチテクニック)
②:政策決定絡みの出来事(首相政府大臣が何を決めた、何を発言した、役所(厚生労働省、都道府県知事市長、専門家会議の面々)がどうした、何を発言した、自民党の国会議員による政府決定裏話)
③:コロナ患者を救う医療について(治療薬ワクチン開発の見込み、専門家会議の提言の妥当性の議論、役所の施策指導が現実的かの議論)
である。
役所(厚生労働省)はテレビには出てこない。記者が電話で質問した答えを「厚生労働省の回答はこうでした」と紹介されるだけだ。
テレビ局によっても、カラーが違う。
もっともわかりやすいのは、NHKだ。
地震発生のときに流す「机の下にはいれ、高いところに逃げて津波をかわせ」という緊急地震情報と同じ感覚で「接触を7割8割減らしましょう」というばかりだ。それは政府の専門家会議が提言したことであるので、NHKが宣伝を担当している。
4チャンネルのコロナ番組は、取るにたりない。おそらく、コロナ問題を番組化できる人材(プロデューサーやディレクター)がいないのだろう。
5チャンネルと6チャンネルは、よくやってる。
7チャンネルは、取るにたりない。
8チャンネルは、保守系のケレン味のあるコメンテーターに好きなように発言させることで、カラーを出している。
MCやコメンテーターのカラー

「接触を7割8割減らしましょう」が、いまや、国の唯一の公式対策になってしまった。接触を減らせばウイルスは広がらないですむ、だから、国民のひとりひとりの自覚と協力が必要だ、というのは、ひとつの真実だが、テレビ局のMCやコメンテーターは、「7割8割できるはずがない」と言ってのけた自民党の二期幹事長と同じく、できると信じている人は少ないだろう。誰一人「諸外国のように強制せよ」とは言わないが、「休業できるよう、国が金を補填するしかない」という論調になっている。NHKですら、ドコモやヤフーの位置情報の集計値などのデータを報道して、自粛には限度あると示唆している。
民放は、もっと、立場をはっきりさせている。「休業には金をだしてやれ」という意見である。レギュラーコメンテーターでは、5チャンネルの玉川、8チャンネルの堤が、はっきり言う役を引き受けている。ゲストコメンテーターでは、8チャンネルが多い橋下と東国原が、周囲からつっこまれるピエロ役を期待されながらも、はっきり白黒を言い分ける役を引き受けている。もっと大衆好みの石原と長嶋の発言は、プロっぽい議論が必要な画面では、カラ廻りして役不足だ。

自民党の議員コメンテーターの役割は
バラエティに近いテレビ番組で、反対論の勢いをそらす役割で出ていた自民党の国会議員おいば、平沢氏である。番組のゲストが首相や政権をこき下ろす発言をして、視聴者がそうだそうだとという空気になったときに、「一言いわせてもらうと」という割り込んで行く役割の名手である。

対話やディベートでのこのような役割を「クリンチ」役という。クリンチは、ボクシングで、相手に殴られっぱなしになってふらふらでも、攻撃者に抱きつき、抱きつくことで、ダウンせずに休めて、かつ、相手がパンチを繰り出せないようにしてしまう行為のこと。平沢氏は、ビートたけしのテレビタックルなどで名人芸を見せていた。
BS6チャンネルのコロナ番組では、田村元厚生労働大臣、BS8チャンネルでは、佐藤前外務副大臣が、反対論を抑える役を担って出演している。両番組とも、自民党としての見解をMCから質問される立場であるが、鋭い質問をあびて、歩が悪くなったときには、「党の内部でもいろんな意見があり、じつはこんなこともあんなことも議論されている」と、いかにも、反対論に含まれるアイデアを自民党もすぐに取り入れるかのように話す。すると、反対論の論調に賛成しかけていた視聴者が「自民党でもそれを考えてるのなら、まあ、批判せずに待ってみるか」と宥められてしまうのである。


テレビ番組内での論調をやんわりと制圧する自民党の作戦は、成功してきた。野党の議員は自民党のこの作戦に勝てないでいる。立憲民主党も国民民主党も、アイデアを出して論を建てると、「そのアイデアは自民党内でも検討してます」ということで飲み込まれてしまうので、問題点を真の対立軸にしえず、雲散霧消してしまうのである。

唯一、共産党だけが鋭くかみつくが、自民党は、共産党のアイデアについては、「党内で議論してます」というような相手の仕方をとらない。何を言おうと、無視。そんな発言があったか、というような顔で無視し、それについては全く言及しない、という戦術で対応するのである。それで、BS6チャンネルでゲスト出演する共産党の小池氏が医師の立場からいろいろ言っても、自民党から来たコメンテーターは、すぐに、別の話題を口にしていくのでる。
ネットのコメンテーターたち
テレビのコメンテーターではないが、ネットニュースに登場するコメンテーターも、コロナ問題についてやかましい。
ネットコメンテーターは、ツイッターで意見を言う人である。
ひとの揚げ足を取るだけの低級なツイッター発言者は別にして、よく話題になる著名人は、百田氏とホリエモン氏だ。おいらに配信されてくるネットニュースでは、百田氏のが週1回、ホリエモン氏が週3回以上である。
ツイートという短信では、ふとした感想をつぶやく以上のことはできない。そのため、彼らのコメントは、いずれ劣らず薄っぺらで、「考える前に反応しちゃってる」軽薄さに満ちている。せりふ回しに味がなく、凶暴なカラスが自分をライオンと間違えて、枝の上で吠えているだけ、という情景に見える。


そろそろ、本当のことを
テレビもネットも、そろそろ、本当のことを口にし始めた。
①治療薬はまだない。アビガンは6月に承認を申請できる見込みだそうだが、承認に特別なゲタを履かせても、6ヶ月はかかる。つまり、2020年内には間に合わないかもしれない。じゃあ、その間、どうするんだ?
②ワクチンは、18ヶ月かかる。それまでのあいだ、コロマにかかってない人が予防する方法がない。その間、どうするんだよ?
③「接触を8割減らしてください」自粛は、仕事する人・勝手する人・無視する人・背に腹は変えられない人がいるので、要請(おねがい)だけでは、できそうにない。じゃあ、どうするんだよ。強制か? 休業の補償・穴埋め補填・協力金を払うのか?誰にいくらだ?
本当のことを口にし始めると、皆、辛くなる。
しかし、本当のことを、ちゃんと話し合って、理解する人々が多ければ多いほど良いはずだ。