不要不急ってなんなのさ!

仮想の手紙:親愛なる、綾小路歌右衛門さま

あなたのファンとして、熱烈なる後援者として、いつも、ステージ上の見事な演技と歌を、死ぬまで支えたく思っております。
さはさりながら、このたび切迫しております新型コロナ事態の「不要不急の外出自粛」要請に従いたく存じますので、次回の綾小路様の公演には参加できません。無観客ステージを行なわれますか? スタッフの感染防止を考えれば、ほとんど不可能と存じますが、ネット配信が実現しますなら、ご連絡ください。
それにしても、綾小路様のお仕事は、「不要不急の」ものだったのですね。
そういえば、いつも舞台の千秋楽の打ち上げで繰り出します銀座のクラブ「てんこもり」のママから「おひまならきてよね」と電話がありましたが、あの職業のかたたちも「不要不急の」接客業ですから、残念ながら、訪ねてあげるわけにもいきません。

共通の友人である画家の本田先生も明日から個展を開かれる予定でしたが、画業などの芸術家のおしごとも「不要不急の」ものであるらしく、本田先生は、誰も来てくれないとして、急遽、個展の中止をお決めになりました。

ピアノ演奏家である奥様も、予定の演奏会はすべて中止だそうです。

以前にお誘いして、フォアグラ仕立ての鳩のグリルに舌鼓をうちましたフレンチ割烹のシェフ・コビットさんが、綾小路様のご自宅に訪問ケータリングできるとのことでしたので、お伝えいたします。コビットさんは、名字が、WHOがウイルスに命名した名前と同じため、あらぬ風評被害を受けています。まったく気の毒なことです。
芸能の方面、水商売の方面、芸術家の方面、食事どころの方面、など、「不要不急の」方面のかたは、お仕事が窮地に立たされ、まことにお気の毒な仕儀に至っております。
ひるがえって考えますに、真面目に働いてきたのに、自分の仕事が「不要不急」とみなされるのは忸怩たるものあり、と言わざるを得ません。ルイビトンもシャネルも香蘭社など高級ブランドものも、まるごと「不要不急」ということになるのでしょうか。
古くなったメルセデスをレクサスに買い換えるのも「不要不急」。

小池知事様は、「不要不急」の定義を問われて、「要とは、きょうしなけれなならないこと」と答えました。きょうしなくてもいいことは「不要不急」ということです。でも、正しくは、「生死にかかわりそうなことで」という限定が付くはず。そういう意味で話を絞ると、警察治安消防と医療だけ。この2つが崩壊すると、社会そのものが崩壊するからです。
綾小路さまも、家に引きこもっておられるとお聞きしておりますが、すぐに退屈しストレスが貯まることでしょう。ネットフリックスなどの娯楽や室内エクササイズで、コロナ戦中生活に潤いを補われますよう。すべてが終わったときに、お目にかかりましょう。
敬具。

Visits: 246



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA